6月に入り、初夏を感じる気候となってきましたね。夏本番に向けて体調を整える準備はできていますか?今回は私たちの体を基盤から整えるために重要な栄養素である、ナイアシンをご紹介いたします!
あまり馴染みのない栄養素かもしれませんが、ナイアシンとは水溶性のビタミンB群の一種です。別名ニコチン酸とも呼ばれますが、タバコに含まれるニコチンとは別の物質です。ビタミンB群には、発見された順にB1、B2…と名前が付けられており、ナイアシンはビタミンB3に当たります。私たち人間の体内でも、必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンから生成することができます。小腸で吸収され、体内の様々な機能の維持と向上に関わっています。
私たちが食品から摂取した3大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)をエネルギーに変える時にはたくさんの酵素が作用しています。その酵素の働きを助けるのが“補酵素”。ナイアシンは主にこの“補酵素”として働きます。私たちが生きていくための活動エネルギーを作り出すうえで、とても重要な役割を担っているのです。ナイアシンが関与している酵素の数は非常に多く、その数は実に400種類以上といわれています。それだけ多くの生体機能に関わっているということがわかりますね。仕事で体力を使う方、スポーツをする方、アウトドア好きな方など、活動量が多くアクティブな方はより多くのエネルギーを必要とします。ナイアシンが不足しないようしっかりと補うことで十分なエネルギー産生をサポートすることが重要です。
ナイアシンは健康面ではもちろん、美容やアンチエイジングにおいても活躍してくれます。私たちのカラダは約37兆個の細胞でつくられており、細胞は常に生まれ変わっています。いつまでも若々しくいるためには、この37兆個の細胞が正しく生成されることが重要なのです。ナイアシンは、正しい細胞を作るための設計図となるDNA(デオキシリボ核酸)の合成や修復に関わっています。この働きにより、細胞の正常な生まれ変わりを助けます。また、血行を促進したり炎症を防いだりする働きによっても、健康な皮膚粘膜の維持をサポートします。さらに、男性ホルモンや女性ホルモンの分泌にも関与しており、この働きも若々しさのキープに役立つといえるでしょう。
ナイアシンは脳の神経伝達物質の分泌にも関与し、不足するとイライラや不安など精神的な面での不調を引き起こす可能性があります。ナイアシンは体だけでなく心の健康にも関わる、重要な栄養素なのです。特に疲れている時などは体内でナイアシンをたくさん消費するため、そのような時こそしっかり補給して心の健康を保っていきましょう。
他にもアルコールや二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解する働きがあり、お酒をよく飲む方にもおすすめです。血行促進のはたらきにより、めぐりを大切にしたい方にも。
ナイアシンを多く含む食品には、
・かつおやまぐろなどの魚介類
・レバーや鶏胸肉などの肉類
・しいたけやまいたけなどのきのこ類
・小麦や玄米などの穀類
などがあり、特に赤身の肉や魚に多く含まれているのが特徴です。
★摂取ポイント
ナイアシンは熱に強いため加熱による損失は少ないと考えられますが、水溶性であるため洗ったり茹でたりすると水に溶け出してしまう性質があります。そのため調理の際には注意が必要です。また余すことなくしっかり摂取するためにはサプリメントの活用がキーポイントです。
私たちにとって重要な数多くの働きに関わっているナイアシン。たくさんの役割を担っているからこそ、不足に気をつけたい栄養素です。毎日の生活で意識的にナイアシンを取り入れることで、心身共に健康で若々しい日々を過ごして行きましょう!
松屋銀座店
管理栄養士 藤井星奈(群馬県)
こんにちは!4月に入社した新入社員の藤井です。野菜、甘いもの、コーヒーが大好きで、食が毎日の楽しみです。また出かけることが好きで、休日は趣味を求めて元気に活動しています。