こんにちは!
管理栄養士の五十洲(いそす)です。
このメールマガジンでは、季節のお悩みや最近話題になっていることについて、栄養士の視点で、皆さまに役立つ情報をお届けしております。
あっという間に2月が始まりました。まだまだ寒さは厳しいですが、少しずつ日が長くなってきましたね!
これからの季節のお悩みといえば、花粉症。すでに症状が出始めている方もいるようです。くしゃみをするのもはばかられる昨今ですので、できるだけ症状が出ないように抑えたいもの…。
今回は、そんな花粉症にまつわる話を取り上げてみたいと思います!
アレルギーを引き起こす、免疫バランスの乱れとは…?
花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患は、免疫機能と深く関係しています。
自分はめったに風邪をひかないし、体調を崩すことも少ない。免疫力は高いはず!と思っていても、アレルギー体質の方はいると思います。
免疫力が高ければいいというわけではない…?
また、アレルギーは、免疫が過剰に反応している状態だという話を耳にしたことはないでしょうか?
つまり、高すぎるとよくないとうこと…??
この辺、最近よく聞かれるのですが、なかなかきちんとした回答ができずにおりました。
免疫の過剰反応とはどういうことなのか?
免疫力への関心が高まっている今だからこそ、気になるそこのトコロを整理して、お伝えしてみたいと思います!
アレルギーは免疫が過剰に反応している状態だと言われますが、実際は “免疫バランスの乱れ” が原因です。そう言われても、なかなかピンときませんね…(^-^;
免疫細胞には、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞などがあって、互いに連携を取り合って働いていることは今までにも紹介したことがあるかと思います。
ウイルスに立ち向かう時には、“生まれつきの殺し屋” の異名を持つナチュラルキラー細胞の働きに注目することが多かったのですが、今回注目したいのは、T細胞の一種である「ヘルパーT細胞」です。
ヘルパーT細胞の役割は、攻撃の戦略を立てて司令を出すこと。パトロール役のマクロファージから敵の情報を受け取り、敵の種類によって戦略を立てて指令を出します。
このとき、相手が細菌やウイルスなら「Th1」、相手が花粉やホコリなどのアレルゲンなら「Th2」という細胞に形を変えます。そして、それぞれに見合ったサイトカインという物質を放出して、攻撃をしかけたり、抗体をつくったりするように指示を出していきます。
前置きが長くなりましたが、免疫のバランスが崩れるというのは、この「Th1」と「Th2」のバランスが崩れた状態を指しています。バランスが崩れて「Th2」が過剰になった時、花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患を引き起こしてしまうのです。ちなみに、「Th1」が過剰になると、関節リウマチや膠原病などの自己免疫疾患を引き起こします。本来はお互いの反応が過剰にならないように抑制し合っており、バランスが取れているときはアレルギーも起こりません。
では、なぜTh1とTh2のバランスが崩れてしまうのでしょうか?
私たちはもともと、Th2が優位な状態で生まれてくるそうです。成長にともなって細菌やウイルスが体に侵入し、Th1の働きが発達することでバランスが保たれていくという仕組みです。子どもの頃にアトピーや食物アレルギーがあっても、大人になるにつれて自然とアレルギーが出なくなったという場合、このように免疫バランスが整ってきたということが考えられます。
しかし最近は昔に比べて衛生環境が整い、家庭生活でも、子どもの遊びでも、細菌やウイルスに接触する機会は減ってきました。こうした衛生環境の変化によってTh1が発達する機会が減り、バランスが保てない人が増えているのではないかと考えられています。
でも、子どもの頃はけっこう泥まみれになって遊んでいたし、大人になってからもずっと何のアレルギーもなかったのに、ある年から急に花粉症になる人だっています。この場合は何が原因なのでしょう…?
そこにはやはり食生活が関係しています。重要なのは、腸内環境。腸内環境の乱れが、Th1とTh2のアンバランスを引き起こしているのです。
普段から特にお通じに問題がない場合でも、腸内環境を乱すような食事を続けていると、免疫バランスが崩れてアレルギー体質を引き起こすこともありますので、注意が必要です。
いかがでしたでしょうか? 次回は免疫バランスと腸内環境との関係についてより詳しく探り、免疫バランスを整える食事についてご紹介したいと思います!