2021年8月 栄養士のブログ①

栄養士コラム

不安を感じるのは、遺伝のせい!?それとも…

こんにちは!
管理栄養士の五十洲(いそす)です。

このブログでは、季節のお悩みや最近話題になっていることについて、栄養士の視点で、皆さまに役立つ情報をお届けしております。

8月に入り、夏真っ盛りですが、夏バテなどされていませんか?

世の中は未だ安心のできない状況が続いており、積み重なったストレスで心身の不調を訴える方が増えているように思われます。

気分が塞ぎがち...
少しのことでイライラしてしまう...
ぐっすり眠れない...

など。 特に女性の方からのご相談を多くいただく傾向を感じております。

これらの不調には、“幸せホルモン”として知られる「セロトニン」が深く関わっていると考えられます。

今回は、そのセロトニンに着目!実は、私たち日本人はもともとセロトニンが不足しやすい遺伝子を持っているということ、ご存じでしたか…?

日本人は遺伝的に不安を感じやすい…?

“幸せホルモン”として、近年だいぶ浸透してきたと思われるセロトニンですが、そもそも、日本人は遺伝的にセロトニンが不足しやすいといわれているのをご存じでしょうか?

同じ事象が起こっても、楽観的に考えられる人、不安を感じてしまいやすい人がいるのは、セロトニンの量に関わる「セロトニントランスポーター遺伝子」の型に左右されるといわれています。この遺伝子の型には、セロトニン量の少ない「S型」と、セロトニン量の多い「L型」があり、この2種類の掛け合わせによって、「SS型」「SL型」「LL型」の3タイプに分かれます。

「SS型」の遺伝子を持っている人は生まれつき不安を感じやすい人、「LL型」の遺伝子を持っている人は生まれつき楽観的な人、「SL型」はその中間といえます。このように、不安を感じやすいかどうかは、遺伝子の型によって、ある程度決まっているのです。

そして日本人の実に65%が、不安を感じやすい「SS型」の遺伝子を持っているのだそうです。それに対して、「LL型」はわずか3%程度。アメリカでは、「SS型」が19%と少数派で、「LL型」が32%だそうです。日本人は遺伝的にセロトニンが不足しやすく、不安を感じやすい性質を持っていることがわかります。

ここで、セロトニントランスポーターとは…?ということに簡単に触れてみます。セロトニンは、私たちの脳の神経細胞でつくられます。そして、神経細胞同士をつなぐシナプスを介して、次の神経細胞に受け渡されます。セロトニンが十分につくられ、シナプスでしっかりと受け渡されることによって、セロトニンの効果が発揮されます。

この時、シナプス間で受け渡されずに、いわば“余った”セロトニンは、もとの神経細胞に取り込まれて、再利用されるという仕組みがあります。この再利用=リサイクルの能力が高いほど、常にセロトニンが充足している状態となります。一方、リサイクル能力が低い場合、リサイクルされなかったセロトニンは、そのまま分解されてしまいます。その結果、セロトニン充足状態をつくることができず、セロトニン不足から不安を感じやすくなるといわれています。

セロトニンがもとの神経細胞に再度取り込まれる時に、セロトニンをキャッチする場所が、セロトニントランスポーターで、リサイクルの窓口のような場所です。そのリサイクル能力の高さを決めるのが、セロトニントランスポ―ター遺伝子といえます。日本人に多いSS型の遺伝子を持つ人は、セロトニンのリサイクル能力が低いため、セロトニンが不足しやすく、不安を感じやすい傾向にあります。

女性に訪れる、セロトニンが不足しやすい時期

このように、遺伝的にセロトニンが不足しやすい日本人ですが、女性の場合はさらに、セロトニンが不足しやすい時期があります。それは、女性ホルモンの変動と深く関わっており、どの年代の女性であってもセロトニンが不足しやすい時期が必ずあります。

セロトニン量を左右するのは、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)です。女性ホルモンは、エストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類が常に変動を繰り返しており、特にエストロゲンは、女性の心身の健康維持に大きな影響を与えています。このエストロゲンの分泌量が減少すると、それに比例するようにセロトニンの分泌量が減少することがわかっています。

エストロゲンの分泌量が大きく減少するタイミングは、女性のライフステージによっていくつかあります。

まず、月経のある全ての年代の女性に共通するのが、毎月やってくる排卵日から月経前にかけて。月経前の不調を指すPMS(月経前症候群)の症状に、精神的に落ち込んだり、イライラしたりする症状がみられますが、これはセロトニンが減少して起こると考えられます。

次に、出産後。産後うつは、産後3~6カ月以内の10~20%の女性にみられるといわれています。妊娠中にはエストロゲン、プロゲステロンの両方が増加しますが、出産後は両方が急激に減少します。この時、セロトニンも減少するため、うつ症状が現れると考えられます。

そして、閉経の前後の時期を指す更年期。この時期は、それまで周期的に分泌されていたエストロゲンの分泌量自体が減少し、常にエストロゲンの少ない状態が続きます。一般的には、50歳前後に閉経を迎える方が多いとされていますが、実際は30代後半頃から卵巣機能が低下し、徐々にエストロゲンの分泌量が低下し始めます。更年期の不定愁訴としてイライラや気分の落ち込みなど精神的な症状がみられるのは、エストロゲンの減少にともなうセロトニンの減少が影響していることが考えられます。

このように、女性には、セロトニンが減少し、不安感やイライラを感じやすくなる時期が誰にでもやって来るのです。

ここまで、日本人は遺伝的にセロトニンが不足しやすいこと、女性は女性ホルモンの影響でセロトニンが不足しやすい時期があることをご紹介してきましたが、これに加えて、食生活の乱れ、生活リズムの乱れ、ストレスなどが加わると、さらにセロトニンは不足しやすくなります。遺伝的な要因や女性ホルモンの減少は、避けられない部分も多いにありますので、せめて普段の生活でセロトニンをたっぷり作る生活を心がけていきたいものです。

次回は、セロトニンをたっぷり分泌させるために心がけたい習慣をご紹介していきます!


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