2021.5 心と脳の健康を守る大切な栄養素Ⅱ

栄養士コラム

こんにちは! 管理栄養士の五十洲(いそす)です。

このメールマガジンでは、季節のお悩みや最近話題になっていることについて、栄養士の視点で、皆さまに役立つ情報をお届けしております。

各地で例年よりも早い梅雨入りが話題になっておりますね。
ジメジメとして気分も晴れない季節になりますが、なんとか元気に乗り越えたいものです!

さて、最近は長引くコロナ禍でメンタルの不調を訴える方が増えているということで、前回から心の健康、脳の健康についてお伝えしています。心の状態と脳の状態は密接に関わっており、心を健康に保つには、脳を健康に保つことが大切です。

私たちの心の状態をつくるのは脳でつくられる神経伝達物質。そしてその伝達を行うのが脳の神経細胞(シナプス)の役割です。前回は、神経細胞の細胞膜を柔らかく保ち神経伝達物質のやり取りをスムーズに行う栄養素としてEPA、DHAなどのオメガ3系脂肪酸を紹介しました。

今回は、神経伝達物質そのものをつくる栄養素、大切な2つのアミノ酸をご紹介したいと思います。

今、不足しがちな神経伝達物質とは?

前回、心の状態は脳内でつくられている神経伝達物質によって決まるということに触れました。神経伝達物質は、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンをはじめ100種類以上も存在し、私たちの精神活動をコントロールしています。今回はその中でも、今不足しやすいと思われる「ドーパミン」と「セロトニン」に着目してみます!まずはそれぞれの働きを詳しく見ていきましょう。

ドーパミン

ドーパミンは、意欲、快楽、達成感などをもたらす神経伝達物質です。「楽しい」「嬉しい」「心地良い」などと感じるときに分泌されることがわかっています。「報酬系」ともいわれ、「これをするといいことがある!」とわかった時にも分泌されます。有名な「パブロフの犬」の実験は、犬にベルを鳴らしてえさを与え続けるとベルを鳴らしただけで犬がだ液を分泌するようになるというものですが、この時も脳内ではドーパミンが分泌されているのだそうです。

ドーパミンが不足する原因は十分にはわかっていませんが、ストレスなどで「楽しい」「嬉しい」「心地良い」などの気持ちを感じることが少なくなれば自ずとドーパミンの分泌は減少すると考えられます。その結果、何ごとにも意欲が沸かない状態を引き起こしたり、ひいてはうつや統合失調症の原因になるといわれています。

セロトニン

セロトニンは、充足感や幸福感をもたらす神経伝達物質です。別名「ハッピーホルモン」とも呼ばれ、セロトニンが十分に分泌されていると、穏やかで満ち足りた感情を維持することができます。セロトニンもまた、うつと関わりのある神経伝達物質で、うつ病の患者さんではセロトニンが不足しているといわれています。

セロトニンは私たちの生体リズムとも関わっており、通常、朝起きて太陽の光を浴びることをきっかけに分泌量が増加します。やがて夜になるにつれてセロトニンからメラトニンという物質に変わり、メラトニンが心地の良い睡眠をもたらします。セロトニン不足は、「寝つきが悪い」「夜中に目が覚める」などの睡眠の質の低下にもつながります。

自宅にこもる時間が長くなると、太陽の光を浴びる機会が減ったり、生活リズムが不規則になったりしませんか?そのような生活はセロトニンの分泌を低下させる要因となります。またセロトニンは運動をすることでも分泌されるため、運動不足もセロトニンを不足させる要因となります。

神経伝達物質をつくる栄養素

今、不足しがちなドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質。栄養面では、これらをつくるアミノ酸の積極的な摂取がおすすめです。

ドーパミンをつくる:チロシン

チロシンは、必須アミノ酸の一種であるフェニルアラニンから体内で生成されます。そのためチロシン自体は必須アミノ酸ではありませんが、脳や心の健康に役立つことで注目を集めています。チロシンが脳や心の健康に役立つのは、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンといった神経伝達物質の材料になるため。チロシンが不足するとこれらの分泌が減少し、うつ状態などの原因にもなるといわれています。

必須アミノ酸ではないためあまり注目されることのない栄養素ですが、海外ではチロシンのサプリメントも一般的です。食品では、マグロの赤身、豚肉ロース赤身、凍り豆腐、チーズなどに豊富に含まれます。

セロトニンをつくる:トリプトファン

これまでにも何度か紹介したことのあるトリプトファン。人の体では合成できないため、食事から摂取する必要がある必須アミノ酸のひとつです。トリプトファンはセロトニンの材料になり、前述の通りセロトニンからメラトニンへと変換されます。トリプトファンが不足するとセロトニンが十分につくられず、イライラや不安感、ぐっすり眠れないなどの不調の原因になります。

トリプトファンも日本では高含有のサプリメントは少ないですが、海外では単体で高含有のものが一般的です。食品では、カツオ、レバー、卵、チーズ、バナナなどに豊富に含まれます。

前回、今回と、心と脳の健康を守る栄養素をご紹介してきました。この環境下で生活スタイルを大きく変えることはなかなか難しいと思いますが、日々の食事、栄養面で参考になることがあれば嬉しく思います。

梅雨という季節も相まってジメっとした気持ちになってしまいがちですが、少しでも楽しみや喜びを見つけて前向きな気持ちで過ごしていきましょう(^^)


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