こんにちは！
管理栄養士の五十洲（いそす）です。
季節のお悩みや最近話題になっていることについて、栄養士の視点で、皆さまに役立つ情報をお届けしております。

日差しの強さが気になり始めるこの時期に増えるのが、頭皮や髪のトラブル。紫外線によって頭皮が炎症を起こしやすくなったり、汗によって蒸れやすくなるのが原因です。

しかし、この時期に限らず年齢とともに頭皮や髪のトラブルは増えていくものです。そこには、日々の食習慣やライフスタイルに加え、ホルモンバランスが深く関わっています。

前回は、髪と女性ホルモンとの関係についてお伝えしましたが、今回は男性編をお届けします！

髪と男性ホルモンの関係

男性の場合、AGA（Androgenetic Alopecia）と呼ばれる男性型脱毛症が年齢を重ねるにともない増えていきます。男性型といわれるだけあり、男性ホルモンと深く関係しています。

「男性ホルモンが多いと髪が薄くなる」

という説を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか？
確かに男性ホルモンは、髪の毛を含む体毛の発育と関係しているのですが、男性ホルモンが多い＝髪が薄くなりやすいというわけではありません。
実際、男性ホルモンの分泌が最も活発になるのは20～30歳頃ですが、抜け毛や薄毛の悩みは30～40代以降で増加します。単純に男性ホルモンが多いからといって髪の毛が薄くなるというわけではないことがわかります。

男性らしさのホルモン：テストステロン

男性ホルモンの代表といえば、テストステロンです。テストステロンは、骨格の発達や筋肉の増大、体毛の増加、生殖機能の向上、闘争本能促進など、男性特有の体つきや思考の形成に関わります。また、神経伝達物質の一つであるドーパミンの分泌を促すことで、意欲、学習能力、集中力、記憶力の向上、さらには疲労感の減少にも働きます。男性にとって、心身の健康を維持するために必要不可欠な存在です。

注意すべきはジヒドロテストステロン

そんなテストステロンですが、ある酵素の働きによって厄介なホルモンに形を変えることがあります。その厄介なホルモンが、ジヒドロテストステロン。薄毛を招く最大の原因といわれるホルモンです。

ジヒドロテストステロンは、テストステロンに、5αリダクターゼという酵素が結びついて生成されます。新しい髪をつくり出す毛母細胞の働きを低下させることで、発毛、育毛が阻害されます。

抜け毛、薄毛を防ぐには、このジヒドロテストステロンが増えすぎないようにすることが重要です。

ジヒドロテストステロンを増やさないためには？

ジヒドロテストステロンが増えるのは、テストステロンが減ることが一つの要因とされています。ジヒドロテストステロンはテストステロンの30倍もの活性がある物質で、年齢とともにテストステロンが減少すると、それを補おうとしてジヒドロテストステロンへの変換が促進されます。また、食事や生活習慣も大きく関係しており、喫煙、飲酒、過度なストレスなどによってジヒドロテストステロンが増えることがわかっています。

ジヒドロテストステロンが過剰にならないように、普段の食事から補うことのできるおすすめの栄養素をご紹介します。

●亜鉛
亜鉛には、5αリダクターゼの抑制作用があるといわれ、結果的にジヒドロテストステロンの生成が減ります。また、髪を構成するケラチンを合成する働きもあります。そのため、亜鉛が不足すると髪質が悪くなったり、成長しづらくなったりします。食品では牡蠣、レバー、赤身の肉などに豊富に含まれます。

●イソフラボン
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、男性にも分泌されています。大豆に含まれるイソフラボンはエストロゲンに似た作用をもつことで知られていますが、5αリダクターゼを阻害する働きもあるとされています。このことで、ジヒドロテストステロンの過剰を抑え、男性の薄毛にも役立つことがわかってきています。