こんにちは!
管理栄養士の五十洲(いそす)です。
このメールマガジンでは、季節のお悩みや最近話題になっていることについて、栄養士の視点で、皆さまに役立つ情報をお届けしております。
前回より、「免疫はバランスが大事!」というテーマでお話をしています。
免疫力のバランスを維持しているのは「Th1」「Th2」という2つの免疫細胞で、この2つのバランスが崩れると、花粉症などのアレルギーを引き起こすことがわかっています。そして、Th1/Th2のバランスが崩れる原因として、「腸内環境の乱れ」があるということをお話ししました。
今回は、腸内環境を整え、免疫バランスを整えるためにおすすめの食べ物や栄養素をご紹介していきたいと思います!
腸には、体全体のうち、70%もの免疫細胞が集まっています。これは、腸が体の内側と外側をつなぐ入口の役割をしているからです。入口にたくさんの監視役を置くことで、外から外敵が侵入してくるのを防いでいるのです。
それほど多くの免疫細胞が集まっている場所なので、腸内環境は免疫細胞の状態にも密接に関わってきます。Th1/Th2のバランスも、腸内環境が整うことで均衡が保たれることがわかっています。
腸内環境といっても、腸の中は見えないので、どんな状態になっているのかはわかりませんよね。もし、普段から便秘気味であったりお腹を下しがちであれば、腸内環境は乱れている可能性があります。
また、今はあまり問題を感じていなくても、肉食中心、脂の多い食事を摂る習慣がある人は、腸内環境が乱れている可能性があります。
✅お肉が好き
✅揚げ物、脂っこいものをよく食べる
✅野菜を食べない
✅お酒をよく飲む
こんな習慣がある人は、腸内環境の乱れから、Th1/Th2バランスが崩れている可能性があります。
ヒトの腸内には様々な菌が存在しています。カラダにとって有用な菌もいれば、悪影響を及ぼす菌もいます。前者はいわゆる「善玉菌」、後者は「悪玉菌」というやつです。腸内細菌のバランスは人によって異なり、全ての人に共通する理想というものはありません。ある人にとっては有用な菌が、ある人にとっては必ずしも有用に働くとは限らず、個々に合った腸内細菌バランスが存在するのです。
また、最近の研究で明らかになってきたのは、多くの種類の菌が腸内にいることが、あらゆる人に共通して良さそうだということです。つまり、菌の「多様性」です。色々な種類の菌が存在する状態が、日常の様々な変動に対して均衡を保つ上で重要だということがわかってきています。
腸内細菌のバランスはひとりひとり異なるため、何か特定の菌をとり入れるよりも、その人がもつ善玉菌を「育てる」という発想が大切です。そのためには、腸内細菌の“えさ”になるものを積極的にとり入れることがおすすめです。
また、偏った食事をすることなく色々なものを食べることは、様々な“えさ”を供給することになり、多様性を高めることに役立ちます。
積極的にとり入れたい食品や栄養素をご紹介します!
1.発酵食品
発酵食品には、腸内の善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを整える働きがあります。納豆、味噌、ぬか漬けなど、和食には発酵食品がたっぷり!発酵の過程では、元の食品に含まれる栄養素が何倍にも増えるだけでなく、新たな栄養成分も産み出されます。多様な栄養素を含む発酵食品は、多様な腸内細菌を育てるのに持って来いの食品です。
2.水溶性食物繊維
食物繊維には水に溶けやすい「水溶性」と溶けにくい「不溶性」がありますが、特に善玉菌のえさになるのは、水溶性の食物繊維です。海藻、きのこ、さといも、オクラなど、ぬめりのあるような食品に多く含まれています。また、ごぼうやにんじんなどの根菜類にも、意外と水溶性の食物繊維は含まれています。
3.オリゴ糖
水溶性食物繊維と同様、オリゴ糖は善玉菌のえさになります。玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、バナナ、はちみつなどの食品に多く含まれます。朝食にヨーグルトを食べる人は多いと思いますが、バナナとはちみつを加えるとより善玉菌の成長に役立ちます♪
腸内細菌はとても繊細で、少しのことでもバランスを崩してしまいます。
先ほどのチェック項目に当てはまる方は、できるだけそんな食生活を控えることが理想ではありますが、なかなか難しいもの。だからこそ、多様な菌を育てる食品を積極的にとり入れることが大切です。
バランスが重要な免疫力。
その鍵を握るTh1/Th2のバランスを維持するために、腸内細菌を育てる食事を意識していただけたらと思います。
いかがでしたでしょうか?
次回も免疫をテーマに、「炎症」にまつわるお話をしてみたいと思っております。