こんにちは!
管理栄養士の五十洲(いそす)です。
新年を迎え、いかがお過ごしでしょうか?
年末年始はお仕事だった方も、例年以上にゆっくりとお過ごしになられた方もいらっしゃるかと思います。
大変な状況ではありますが、少しでも皆さまに笑顔になっていただけるように2021年も頑張ってまいります。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、新年最初のテーマは何にしようかと悩んだ結果、お正月太りが気になる方も多いだろうということで、「ダイエット」にしてみました。
昨年から外出の機会が減ったことやリモートワークの影響で運動量が減り、体重が増えた…というお声も増えています。
1回目の今回は、自分ではなかなかコントロールできない「食欲」と あるホルモンとの関係性を探ってみます。
“愛情ホルモン”の名で知られるそのホルモンとは・・・?
■コロナ禍で注目を集める“愛情ホルモン”
今回注目したいのは、「オキシトシン」というホルモンです。
オキシトシンは女性が妊娠・出産・授乳する時に多く分泌されて幸福感をもたらすことから“愛情ホルモン”として知られています。
妊娠・出産していない女性や男性でも分泌されることがわかっており、
しかも体や心に様々なよい効果がもたらされることで、この10~20年で研究が進んできました。
抗ストレス、家族コミュニケーションの改善、不安の軽減、臓器へのストレス軽減、疼痛緩和などの効果が報告されています。
手をつなぐ、ハグをするなどの大切な人との触れ合いや家族団らん、会話を楽しみながら食事をするなどのコミュニケーションによって分泌が増えるとされています。
人とのつながりが希薄になりがちで、ストレスも溜まりやすい今、オキシトシンの効果に注目が集まっています。
■オキシトシンにまつわる最新情報
そんなオキシトシンに、ダイエットに役立つ嬉しい効果が期待できることが最近の研究で明らかになってきました。
その効果とは・・・?
1. 食欲抑制効果
オキシトシンには薬物やアルコール依存改善の作用も期待されています。
ダイエットの敵である過食は、食べることが止められない、ある種の依存。
オキシトシンを投与することで食欲が抑えられることが報告されています。
この効果は肥満度が高い人ほど顕著に現れるそうです。
2.甘いものの摂取量を抑える
こちらは体型には関係なく、オキシトシンの投与によって甘いものの摂取量を抑制するというデータも出ているそうです。
甘いものが止められないのは砂糖の依存性が関係しているためで、オキシトシンによって依存への改善作用が働いたためと考えられます。
■オキシトシンは食事で増やせるのか?
こうしたオキシトシンの働きを知ると栄養士としては、栄養素でオキシトシンを増やすことができるのか・・・?
ということが気になりますが、そういった情報は今のところあまり見つけることができません。
しかし、オキシトシンがアミノ酸からできていることは事実です。
ホルモンは、コレステロールを材料につくられるものとアミノ酸を材料につくられるものに分けられますが、オキシトシンはアミノ酸を材料につくられるホルモン。
システインが2個と、チロシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、ロイシン、グリシンの9つのアミノ酸で構成されています。
よって、材料であるアミノ酸をしっかり補給することは最低限必要であると思います。
同じアミノ酸系のホルモンであるセロトニンは、トリプトファンからつくられ、その過程でビタミンB6を必要とすることがわかっていますが、オキシトシンに関してそのような特定のビタミン等の情報は今のところ見つけることができませんでした。
ただ、ビタミンやミネラルは様々なホルモンや酵素の合成に関与していますので、ビタミン、ミネラルを積極的にとり入れることも大切だと思われます。
これからもっと食事や栄養素との関係性が明らかになっていくことを祈ってこれからも注目していきたいと思います。
いかがでしたでしょうか?
ホルモンにはまだ明らかになっていないことも多く、知れば知るほど奥深さを感じます。
次回は同じホルモンの「セロトニン」に着目してみます。